経営戦略・財務

「役員借入金」という時限爆弾の処理法

2026.03.08BY 白井 裕人6 min

貸借対照表を見ていて、「役員借入金」や「未払金(役員)」が多額に積み上がっている会社は珍しくありません。経営が苦しい時期に経営者個人から資金を入れ、そのまま返済されずに残っているケースです。

普段の経営には影響しないため放置されがちですが、M&A や事業承継の局面では大きな足かせになります。

なぜ役員借入金が問題になるのか

買い手目線で見ると、役員借入金には次のような問題があります。

特に中小企業のオーナー社長が相続時に株式を承継する場合、この債権が相続財産として評価され、思わぬ相続税の原因にもなります。

処理の選択肢

役員借入金の処理には、主に 4 つのパターンがあります。

1. DES(債務免除)

経営者が債権を放棄する方法。最もシンプルですが、会社側に債務免除益が発生し、繰越欠損金がなければ法人税課税の対象になります。

2. 増資(DES/デッド・エクイティ・スワップ)

債権を現物出資して株式に転換する方法。会社の負債が資本になるため、財務体質は改善します。ただし手続きは煩雑で、時価評価の論点があります。

3. 計画的な返済

毎期の利益の範囲内で、数年かけて返済していく方法。時間はかかりますが、税務・会計上のリスクは最小です。

4. 分割払いの約束(金銭消費貸借契約の整備)

契約書を整備し、返済スケジュールを明確にしておく方法。M&A時に「負債性のある借入」として適切に説明できるようにしておきます。

選択の基準

どの方法を選ぶかは、次の要素で判断します。

早めに手を打てば選択肢が広がります。売却を決めてからでは、DES しか選べないケースが多く、税務コストも大きくなります。

まとめ

役員借入金は、放置していると数年後に必ず問題になる「時限爆弾」です。今日時点での残高を正確に把握し、向こう 3-5 年の処理方針を立てることをおすすめします。

具体的な処理方針の設計は、経営戦略・財務 サービスで伴走しています。

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