WACC(Weighted Average Cost of Capital、加重平均資本コスト)は、企業が資金を調達する際の平均的なコストを、負債と株主資本の構成比で加重平均した指標です。DCF 法での割引率として使われる、バリュエーションの要となる数値です。
計算式
WACC = (E/V) × Re + (D/V) × Rd × (1 − T)
- E: 株主資本の時価
- D: 有利子負債の時価
- V: E + D(総資本)
- Re: 株主資本コスト
- Rd: 負債コスト(借入金利)
- T: 実効税率(負債の節税効果を反映)
株主資本コスト(Re)の求め方
CAPM(資本資産価格モデル)で算定するのが一般的です。
- Re = Rf + β × (Rm − Rf)
- Rf: リスクフリーレート(10 年国債利回り)
- β: 類似会社のベータ値
- Rm − Rf: 株式市場リスクプレミアム
WACC の水準感
- 大企業・安定業種: 5 〜 7%
- 中堅企業: 7 〜 10%
- 中小企業・新興企業: 10 〜 15% 以上
実務上のポイント
中小企業の WACC 算定では、類似上場企業からベータ値を借用する(プロキシー)方法が使われます。ただし、事業規模が小さいほど上乗せすべきサイズプレミアムが大きくなるため、機械的に計算すると過小評価になりがちです。サイズプレミアム・カントリーリスク・流動性プレミアムをどう織り込むかが実務の論点です。